アディージャの卒業

モスルの妹、アディージャが8月末に学校を卒業しました。

ナイジェリアの学校制度は日本と同じ小学校から高校まで6-3-3年制なのですが、小学校6年と中学校の3年、この9年をジュニアセカンダリースクール(下級中等教育)と呼び、残り3年をシニアセカンダリースクール(上級中等教育)と呼ぶそうです。ジュニアセカンダリースクールまでが義務教育で、その後の就学率はぐっと下がります。

シニアセカンダリースクール(上等中等教育)の試験に合格して進学すると、普通教育、科学、芸術、社会科学などの専門教育、職業クラスに分かれます。就業困難な生徒には職業訓練も用意されています。アディージャは看護師になる道を選びました。

ナイジェリアの医療水準は低く、例えば首都のアブジャや最大の都市ラゴスであっても、日本人が利用するに耐えられる病院はなかなかないようです。もちろん日本のような保険制度はなく、病院を受診するなんて庶民には無理。モスルも風邪をひいた時、「これを飲む」と小さなビニールに入ったビタミン錠を一粒見せてくれました。

モスルのお父さんは日本でいうところの漢方医のような、昔からある植物などを利用して治療をするお医者さんです。西洋医学の薬の普及、それに比べて薬が効くまでに時間がかかるエスニックメディスン離れが進んでいるそうです。家に帰ればそんな薬があったのに、そこまでの元気がなかったのでしょう。

さて、アディージャのような看護師さんはどんな仕事をするのでしょうか。

病院に行くことができないけれど、風邪や胃腸の問題など、簡単な治療が必要な人の家を訪問し、注射を打ったり点滴をしたりします。また、就職先として薬局を選ぶ人もいるそうです。薬剤師と一緒に薬が必要な人の症状を聞き、薬を選ぶサポートをするのです。ただし国が運営するような病院に就職をするためには、もう少し学校での勉強を続けないといけないそうです。聞いた印象では、今のアディージャは日本の准看護師のような立場で、病院勤務のためには正看護師にならなければいけないのだろうと思いました。

アディージャは現在仕事を探しています。日本とは違い交通費の支給などはないため、仕事が見つかっても遠く交通費がかかってしまう場合、なんのための給料なのかわからなくなってしまうためです。ここでも若く、可能性がある人の就業は困難なのだと思いました。

初めて電話越しに会った時、私を見て不思議そうな顔をしていたアディージャ。卒業おめでとう。あなたをとても誇らしく思います。IMOLEの家族でもあるあなたに、充実した日々が訪れますように。

7月にナイジェリアで学校の校舎が倒壊する痛ましい事故が起こりました。22人の生徒が亡くなってしまいました。校舎の構造基準を守らず、倒壊が相次いでいるとニュースで読みました。政府関係者や富裕層はほとんどナイジェリアには住まず、子供を留学させる。一方地元で学校に通う子供たちがこんな事故に遇う。そんな悲しい状況に胸が痛みます。亡くなった子供たちが天国でたくさん学び、家族の皆さんの心の傷が1日も早く癒えますよう祈ります。

Nami Ayomide

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この記事を書いた人

大手外資系のコンピュータ会社で役員秘書、その後同じく大手外資系IT会社に入社。退社後2023年にIMOLEをスタート。
音楽大学出身。日英の他に韓国語中級。4か国語目を勉強しようと計画中。
アフロビート、色、布に惹かれる日々を送っています。
”Ayomide”はモスルがつけてくれた名前です。

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