現在取り扱っているバッグには、私たちの間で”ビッグタグ”と呼んでいる大きなタグが付いています。
これはIMOLEを始める時に、タグの専門店ではなく、刺繍をしている業者さんに布を持ち込みお願いしたものでした。
まっすぐでないもの、縫い付けるスペースがほとんど残されてないもの、不揃いでびっくりしましたが、その大きさは愛らしいと思っていました。
しかし本格的なタグは必要!ということでオセニ氏のタグ屋探しが始まりました。ナイジェリア最大の都市Lagosにタグ屋が見つかりました。ネットオーダーも可能。しかし価格は高く、納品まで仕上がりは写真でしか確認できません。文字のみで作るタグではなく、私たちはロゴを入れたかった…ここも難しいポイントでした。
そしてようやく生産拠点のBeninでロゴ入りで生産を引き受けてくれる業者さんを見つけました。Beninは推定人口100万人を超える、小さな一都市ではありません。タグ屋さんまでの移動は簡単ではありませんでした。そして予定の納品日近くになり、オセニ氏が業者に連絡をしても連絡が取れなかったことに不安がよぎりました。案の定約束した日には納品できないとのこと。
以前バッグの制作にも縫う人と、かがる人が専門でいるなど、作業を分けて仕事が行われることを書きましたが、タグも同じ。作られたタグを受け取り、端をアイロンで折る業者さんがいるそうです。その人が作業を終えていないことが理由だとのことでした。
何度も何度も、オセニ氏は連絡をしたり訪問したりしましたが、一向に受け取れない。
「一緒にその職人のところに行こう」と提案するものの、公園に連れていかれ、「いつもここで待ち合わせる、どこに住んでいるかは知らない」(えー?!)そうした”不発”を何度繰り返したか…その間制作はストップです。タグ屋は「今度結婚するから招待状を送るよ」などと、この後に及んで言う始末。焦った私は怒り、訴えるぞ!とまで言ってしまいました。
オセニ氏は悪態をつくどころか、(若干怒鳴ったそうですが)できなかったら返金を、と伝えて待ちました。私は気が気でなく、やむを得ず日本でタグを発注。しかし納期はかかります。
ストレスは絶頂に達し、「きっと諦めるまでこれは続く、返金は受けられないと思う」と言う私に、ガンとしてタグ屋の返金を信じるオセニ氏。
結末は、約束した日より早く返金されたのでした。
「彼ももっと信頼できる人と一緒に仕事できたらいいね」と言うオセニ氏の言葉に、実際に物を見たり、交渉できない場所にいながら制作を進められるのは、とてもいい指揮者がいるからだ、と心から思ったのでした。
そんなハプニングから、私たちのEpisode2が幕を開けました。
コメント